均一棚で良書発見!
しばらく本を買っていなかったこともあって、無性に本と触れ合いたくなり神保町へ直行。
私はいつも御茶ノ水駅から明大通りを歩き古本街へ向かうのであるが、その時はなぜか御茶ノ水駅方向で電車の遅延が発生していたので神保町駅まで電車で行った。
神保町駅は目の前が古本屋の通りなので、とりあえず店前に出ている均一棚を眺めて行く。
そして古本屋の均一棚でまず目についたのが、丸谷才一「別れの挨拶」(集英社)。
(画像はAmazonリンク:丸谷才一 別れの挨拶 集英社)
丸谷才一さんの名は古本ライターの岡崎武志さんの書籍で紹介されていたため以前から気になっていたのだ。
中を覗いてみると、うん、確かな文章力と面白さをすぐに感じ取り、裏表紙を確認300円、買いだ。
そこからはめぼしいものが見当たらず、三省堂書店に着く。
ここからが、今日の勝負だった。
三省堂書店で新刊本に散財
一応紹介しておくと、三省堂書店は大型の新刊書店である。(神保町店では古本を販売しているエリアもある)
在庫の量が圧倒的に違うので、小さな新刊書店に何度も行くより月に一度三省堂書店に行ってまとめ買いした方が良い本を見つけられる可能性が高い。(と私は思う)
本を買うなら三省堂と言っても過言ではない。
そして、神保町には三省堂書店や東京堂書店などの大型書店、道路に沿うように古本屋が並んでいて良い意味で目が眩みそうになる。
こんなに本に恵まれた街はないよなぁ。
本がつまらないという人は、神保町で本を買うべき。本当に。
講談社文芸文庫は本の宝石箱
三省堂書店に入ってすぐに向かったのが、講談社文芸文庫の棚。
以前から、個人全集月報集というのが気になっていたからだ。
いわゆる全集ものについてくる、著者紹介の冊子を一冊の本にまとめたものである。
これが著者に関係する作家さんなどが書いていることもあり非常に面白いのだ。
そして買い物カゴにすぐ突っ込んだのが、講談社文芸文庫編「個人全集月報集 安岡章太郎全集 吉行淳之介全集 庄野潤三全集」(講談社文芸文庫)だ。
(画像はAmazonリンク:個人全集月報集 安岡章太郎全集 吉行淳之介全集 庄野潤三全集 (講談社文芸文庫) )
2019/05/17時点のAmazonを見てみると中古しか売っていない、もったいないなぁ。
この本も確か岡崎さんの著作で紹介されていたものだった気がする。
いわゆる第三の新人と言われる作家さん達で、それぞれ芥川賞を受賞した経歴をもつ。
私は安岡章太郎さん「花祭」、吉行淳之介さん「夕暮れまで」、庄野潤三さん「夕べの雲」をそれぞれ読んでいて、その段違い文章力と表現力に不変的な価値を感じていた。
そして個人全集月報集をカゴに入れた勢いで手に取ったのは、吉行淳之介さんの丸谷才一編「やわらかい話 吉行淳之介対談集」(講談社文芸文庫)。
(画像はAmazonリンク:やわらかい話 吉行淳之介対談集 (講談社文芸文庫))
つくづく思うのが講談社文芸文庫は良書が揃っている。
昔は岩波文庫こそ「文庫の王様」という感じであったらしいが、最近だと100円の均一棚などでもよく見かける。
今は古本屋も専ら講談社文芸文庫で、これは定価の半額を切ることが少ない、人気の高い文庫である。
希代の名作家「後藤明生」の作品集
次に向かったのが、単行本の棚。
今日は高い本を買おう!と決めていたため、いつもとは違う観点で本を見ていたわけだが、そこで見つけたのが「後藤明生コレクション 前期Ⅰ」(国書刊行会)。
後藤明生さんの著作に初めて触れたのが「挟み撃ち」でその難解な文学にそれなりの洗礼を浴びたわけだが、読後に他の著作はどんなものなんだろうと気になっていたのだ。
これは「挟み撃ち」を読んだときの私のツイート。
後藤明生「挟み撃ち」講談社文芸文庫 #読了
御茶ノ水の橋の上にたたずむ主人公が、昔上京してきた際に着ていた旧陸軍の外套が気になりだし、その行方を探す旅に出る。そして、ふとなんとなくで始めた外套探しが、自分の過去を追憶するきっかけとなっていく。
— 梅酒さん家 (@Book_Guitar_inf) 2019年5月1日
後藤明生さんの作品はほとんど文庫されていなかったため入手が困難で、他の著作はいつか古本屋で見つかればいいやと思っていた。
そしてそんな中、いわゆる後藤明生の作品集を発見したため手に取らずにはいられなかったのである。
中を覗いてみると、驚いた。
あんなにも難解だと感じていた後藤明生さんの著作が、全く違う景色を見せていたからだ。
私が試し読みしたのは「関係」という短編だったが、「挟み撃ち」のように難解な始まり方をしていなかったため逆に興味が沸いた。
今ちょうど「関係」を読み終えたのだが、読みやすいといっても後藤明生さんの作品なのでやはり一度ではなかなか理解が出来ない。
小沼丹さんの「村のエトランジェ」を読んだときも感じたことだが、良い文学作品は内容理解のため何度も読みたくなるのである。
骨のある小説と言おうか、かみ砕けば砕くほど味が滲み出てくるそんな小説を読みたいものである。
読書論から数学やSFまで幅広いジャンルの本を楽しもう!
そして次に目を引いたのが「本の虫の本」創元社。
(画像はAmazonリンク:本の虫の本(創元社))
表紙を眺めていると、本の虫として紹介されている5人の中に岡崎武志さんの名があったからだ。
この本に限ったことではないが、筋金入りの読書家の読書論は本当に面白い。
ぶっちゃけ、どんなジャンルの本よりも面白いと感じることが多い。
そして最後に向かったのが数学関連の棚で、そこからも一冊カゴに入れ、最終的にかかった金額が14000円弱。
う~ん、まいったなぁと心の中でつぶやいたものである。
それでも、目当ての本や「こんな本もあったんだ!」という発見もあったため躊躇せずお金を出した。
正直な所、当初は古本目当てで神保町に来ていたためここまで新刊本を買うことになるとは思っていなかった。
なので三省堂書店を出てからいくつかの古本屋を回ってみた。
そして見つけたのが、早川書房編集部編「SFハンドブック」早川書房である。
(画像はAmazonリンク:SFハンドブック (ハヤカワ文庫SF))
私は今まであまりSFというものにあまり触れてこなかったが、早瀬 耕「グリフォンズ・ガーデン」 (ハヤカワ文庫JA)を読んでから、その科学的な側面の強い不思議な物語に強く関心を抱いていたのだ。
私は500円でこの本を購入したが、今Amazonを見てみるともう少し安い。
多少損しているが、まぁ、それも実際に古本屋で買う楽しみを得た代金だと思えばなんてことはない。
このSFハンドブックは、名作の紹介やSF専門家による対談などが収録されており、SF初心者にもお勧めの内容だ。
本の病にかかる
1か月に一回、いや2ヶ月に1回でもこういう日を作りたいと思った。
なぜなら、本を買ってここまで充実感を感じ、後悔しなかったのも初めてだったから。
それはおそらく、今まで読書してきたことが無駄にならず血と肉となっていたからだろうし、本に対する向き合い方も以前よりうまくなったからだと思う。
神保町に行った当日のツイートが以下。
ここ数ヶ月、積読を消化するためにしばらく本を買ってなかった。
しかし、神保町の本屋で一冊一冊高いものを手に取っていたら合計で14000円、かなり散財してしまったが全く後悔していないのが不思議。
ちょくちょく本を買うのをやめて、数か月に一度まとめて買った方が読書欲がそそられる。
— 梅酒さん家 (@Book_Guitar_inf) 2019年5月14日
文庫など安い本はとても金銭的にやさしいけど、私の場合「この値段だし最悪読めなくてもいいか・・・」という甘えが出る。
その点高い本をまとめて買うと、読まないという選択肢がまず出てこない。
単行本はもちろん、文庫なら1500~1600円して質の高いものが揃ってる講談社文芸文庫がいい。
— 梅酒さん家 (@Book_Guitar_inf) 2019年5月14日
金銭的な問題で、そうそう頻繁に神保町の本屋に行くなんてことは出来ないが、だからこそ行ったときの楽しさは倍増するし、もっと本を読みたい!もっと本が欲しいと思うようになるのである。
最近は本当に講談社文芸文庫の虜になってしまっているので、その欲求を抑えるのに必死だ。
みなさんも、神保町の本屋に行けば、きっと「本の病」にかかってしまうはずである。
そしてこの駄文をここまで読んでしまった方はみなさん文章に寛容な方だと思うので、まだ神保町の本屋に行ったことがないという方はぜひ人生の新しい扉を開けてほしい。
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p.s.
最後まで読んでくださった方、貴重なお時間を割いていただき本当にありがとうございました。
最近はどうやったらみなさんが読みたいと思える記事を書けるのか、へぼい頭を一生懸命使っていろいろ模索しています。
やはり、ある程度文章量がある方がみなさん読んでくださるようですね。
読んでくださっている方もあまり多くないので意味のないことかもしれませんが、こういうことを書いてほしい、またはこうした方がいい等のアドバイスなどありましたらぜひブログにコメント、またはツイッターの方にご意見お願いします。
「つまんね・・・」、「もっと役に立つ記事書けよ」とかでもいいです!
冗談です、誹謗中傷は勘弁してください(笑)
ですが、この情報は間違っているとかその考え方は間違っているなど等であれば紳士に受け止め今後の改善を図っていきたいと思っています。
それではまた、当ブログでお会いしましょう!